減らない不透明なシラスウナギ取引の推移 2017年漁期も36.2%が申告されず

絶滅危惧種となったニホンウナギの稚魚、「シラスウナギ」の漁は厳しく規制されており、許可を得た団体のみが定められた期間中に漁(採捕)を行うことができます。獲れたシラスウナギは許可を得た養殖業者へと渡り、養殖池で出荷できるまで育てられます。

養殖池に入れられるシラスウナギの量を池入れ量といい、シラスウナギ保護のため、水産庁によって池入れ量の上限が定められています。養殖に用いるシラスウナギの総量を規制することで、乱獲を防ぎ種の保護するという枠組みです。

しかしこの規制方法は2つの面で疑問視されています。

1つは採捕されたシラスウナギが、池入れ漁の上限である21.7トン(2015年より)に満たないこと。いくら上限を設けても、それ以下しか獲れていないのであれば、保護のための基準としては緩すぎる可能性があります。

2つ目はシラスウナギの取引が不透明であること。シラスウナギの漁獲量(採捕量)は都道府県への報告が義務付けられており、制度上はシラスウナギの獲れた量は数字として確認できるようになっています。問題は、申告されたシラスウナギの漁獲量が、養殖業者の池入れ量よりもはるかに少ないこと。

水産庁では総池入れ量から輸入統計より算出した輸入分のシラスウナギをさしひいた量を、国内のシラスウナギの池入れ量として集計しています。

現在の制度が適切に運用されているのなら、国内で採捕されたシラスウナギの池入れ量と池入れ量は一致するはずです。しかし実際は、都道府県に報告された採捕量より池入れ量の方がはるかに多くなっています。それも数パーセントの誤差というレベルではなく、国内養殖に用いられているシラスウナギのうちの25%以上が報告されていないとものと見積もられています。

池入れ量と採捕量の差が一番大きかった2015年には、池入れ量の50%以上が報告されていないシラスウウナギと推定されています。


緑色が国内で採捕されて報告されなかったであろう量の割合(単位はパーセント)。緑と黒(報告され分)を合わせた数字が国内で採捕されたシラスウナギの量。

国内のシラスウナギに限ると、さらに甚だしい状況が見えてきます。輸入分を差し引くと、2015年までは国内でのシラスウナギの取引量の半分以上が申告されていないシラスウナギの採捕と考えられます(凡例の「輸入」をクリックするか、こちらをクリックすると、国内のみの割合がグラフに表示されます)。2016年、2017年には50%を切りましたが、それ以前は半分以上が未申告の取引でした。

これほど大きな乖離が生じている原因は、密漁と密売によるものと考えるしかありません。

許可を得ずにシラスウナギを捕まえる罠を仕掛けた人が今年に入っても摘発されていますが、これだけ不透明な実態があるため、水産庁の行っている資源保護の実効性に疑問を呈する人もいます。

 

年推移を年ごとに円グラフ化

池入れ数量は前年11月からその年の5月までの合計。緑色が申告されていないと推定される割合。2018年は5月まで:申告と池入れ量の乖離は不明。毎年1/4以上が不透明な取引。

毎年25%以上が闇取り引き。普通に考えれば、組織的な関与を疑うしかありません。

シラスウナギ池入れ量、未報告と推定される量、輸入量データ

池入れ量国産のみ国内内訳輸入
採捕申告量申告なし

※2018年は5月まで:申告と池入れ量の乖離は不明
※2015年からは池入上限が設けられており、2017年までは21.7トン

水産庁の下記公表物より作成

  • ウナギをめぐる状況と対策について
  • 平成30年漁期の池入れ状況について



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください