打ち水は時間を問わず効果あり 不快指数から考える打ち水効果

このページでは不快指数の気温の寄与度の大きさに着目して、湿度が多少上昇しても体感温度は下がるであろうと推測しています。不快指数に対し、熱中症の発生リスクを示す暑さ指数では不快指数よりも湿度上昇の寄与度を大きく見積もっています。熱中症予防を意図するのなら、湿度の上昇にもご注意ください。

打ち水をするなら朝夕が効果的と言う人もいれば、昼がいいという人もいます。

昼間の打ち水に効果があることは実証されていて、打ち水大作戦のサイトには多数の事例が掲載されています。打ち水大作戦が行われるのは通常は昼間の暑い盛り。暑い時間帯に水を撒いて暑さを緩和することを目標にしています。

その一方で、打ち水は朝夕がいいと言う人もいます。

水を撒くのは昼間と朝夕どちらがいいのでしょう。時刻によって効果に違いがあるのでしょうか?

結論から書くと、水が気化する際の蒸発熱によって下げられる温度は時刻にかかわらず一定なので、いつやっても効果はあります。

時刻によって良し悪しがあると考えている人は温度の低下そのものだけでなく、体感温度を考慮しているようで、根拠はおおむね下のような理由のようです。

  • 昼間:その時の暑さを解消できる
  • 夕方:日が陰ってから水を撒いて昼間に地面に溜まった熱を早く放出させることで夜涼しく感じやすい
  • 朝:早い時間だけでも涼しく感じたい

夕方・夜は納得できますが、朝がいいとする理由はよく分かりません。朝の打ち水は長期的にみると気温上昇のタイミングを多少遅らせる程度。気温を下げるという効果は変わらないので、朝にこだわる理由もないはず(朝涼しく感じたければ、朝まけばいいし、昼の暑さを多少なりとも緩和したいなら昼もまけばいいということ)。

 

昼でも湿度上昇の影響は小さい

気温が高い時刻に撒かれた水は、あっという間に蒸発します。当然ながら急激に湿度は上がり、むっとする熱気に包まれます。この湿度上昇を根拠に昼の打ち水は好ましくないとする人もいます。

水を撒いた直後音湿度上昇は一時的なもの。よほど空気の通りの悪いところでもない限り、気圧の変化も手伝って湿り気はじきに拡散します。環境によって効果は異なるようですが、10分~20分もすれば気温は下がることが多いはずです。

仮に湿度が上がったままでも効果はあります。その理由は湿度が10%上昇しても、気温が1℃下がれば不快度が軽減されるためです。不快指数から、温度と湿度の関係を考えてみます。

 

不快指数早見表

不快指数は湿度と気温から計算されています。

不快指数=0.81×気温+0.01×湿度×(0.99×気温-14.3)+46.3

計算式はややこしいので気にしなくて大丈夫です。気温と湿度の関係を表にしたのが不快指数早見表です。

不快指数早見表

湿度気温(℃)
252627282930313233343536373839404142434445
0666768686970717273737475767777787980818182
5676768697071727373747576777879798081828384
10676869707172737374757677787980818283838485
15686970707172737475767778798081828384858687
20686970717273747576777879808182838485868788
25697071727374757677787980818283858687888990
30697071737475767778798081828485868788899091
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40707173747576777980818283858687889091929394
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wikipedia より作成
フルサイズの印刷用

気温が上がれば上がるほど不快指数は上がります。同様に湿度が上がれば不快指数も上昇します。

ただ、湿度と気温の不快指数への寄与度は大きく異なります。気温そのままで不快指数を5下げるためには、湿度なら25%ほど下げる必要があります。それに対して湿度そのままであれば、気温を5℃程度の下げればいいことになります。

たとえば 35℃で湿度30%なら不快指数80です。ここから不快指数を5下げて75にするためには、

  • 湿度そのままなら気温を30℃に、5℃下げる
  • 気温そのままなら湿度を5%に、25%下げる

不快指数1下げるためには、単純計算で気温を1℃下げるか湿度を5%下げればいいことになります。

気温が2℃下がるなら、湿度が10%上昇しても相殺される計算になります。一時的に湿度が上がっても、拡散すれば気温低下の効果が現れ、不快度は改善することになります。湿度が数%上がっても気温が下がることで体感の不快度は下がると考えられます。

もっとも気温が上がれば上がるほど湿度低下の影響は小さくなります。不快度と湿度・気温の関係は直線ではなく、ゆるやかな曲線を描きます。

不快指数ー気温・湿度対応グラフ

縦軸は湿度、横軸が気温です。同じ湿度で他の不快指数の曲線の気温を比較すると、湿度を固定して何度下げればいいかが分かります。

その他グラフは気温と湿度と不快指数のグラフにあります。

 

打ち水の意味・気化熱

液体が蒸発する際に奪う熱を気化熱と言います。水が気化するためにはエネルギーが必要で、蒸発の際に必要となるエネルギーはどこかから奪う必要があります。

「熱を奪う」と表現すると自発的に「奪ってくる」と解釈してしまう人もいるようですが、他から強制的にエネルギーを与えられても同じことです。毎日台所で発生している「沸騰」は、まさに外からエネルギーを与えられて利かし続ける現象です。

水が 100℃ で沸騰してそれ以上の温度ならないのは、100℃になると、水は液体でいられなくなってしまうため。100℃ になった水は強制的に蒸発させられ、その際に気化熱として他の水から熱を奪っています。一気圧下で水が 100℃ 以上にならないのは、水の気化によって冷却されるからです。強火すれば勢いよく気化してたくさんの熱を奪うため、一気圧下では 100℃ 以上にはなれないのです。

 

打ち水は輻射熱を抑える

昼間の都市部の照り返しは、地面や建物の表面からの輻射熱によるもの。撒いた水は蒸発する際に建物や地面の表面の熱を気化熱で奪って冷やすため、輻射熱を抑えることができます。

日が照っている最中は文字通りの「焼け石に水」なので、少量の水ではほとんど効果は感じられません。しかし水が蒸発したならその分の熱は奪われています。断熱性の低い窓や、アパートならベランダなど、狭い範囲でも効果の感じやすいところに水を撒くと、短時間であっても緩和されるのは体感できると思います。

環境によって効果はことなりますが、現在都市部で行われている打ち水イベントのようにある程度の規模でやれば、気温に確実に影響が生じます。

 

昼間の打ち水の意味は大いにある

打ち水が大々的に行われるようになった頃、いくつかの懸念はありました。湿度が上がって発汗に影響が出ることや、冷房機器の室外機の結露が増えて冷房のエネルギーコストがかえってかさむのではないかといったもの。湿り気はじきに拡散し、気温の低下が確認されたことでこれらの懸念は払拭されました。結露の問題も実験され、エネルギーコストも増えないという報告もされました。

昼の打ち水を控えた方がいいのは、湿った空気が拡散しない特殊な環境くらいでしょう。チリ・ホコリを抑えるために水をまくことは昔だってやっていました。昼間やってはいけないとする理由は、「暑い日の昼間に植物に水をやってはいけない」が拡大解釈されている可能性もあります。

ただ、水道水を使うとなるとコストパフォーマンスの問題も生じるため、あえて昼間に水を撒くのはもったいないとするのも理解はできます。打ち水によって気温が下がり、冷房の電気代が水道代と相殺されればいいのですが、さすがにそこまでの効果はないようです。

打ち水には水道代(≒エネルギーコスト)の問題はありますが、ヒートアイランド現象の緩和には効果的です。空気が滞留している場所や、植物が根を張っているなど特別な理由がなければ、水は好きな時に撒いてしまって構わないでしょう。


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